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 材料に高度な配向性を付与することにより、その素材が本来有する光学的、機械的、熱的、電気的、圧電的機能の向上、あるいは新規機能の発現が期待されます。我々は、磁場を用いた配向制御法に注目し、その手法をセルロース系、及び複合材料系に適用する研究を行っています。また微結晶の3次元配向制御により粉末試料を“擬単結晶”に変換することにより、粉末試料から単結晶回折測定を行う方法を研究しています。
 鉄のような強磁性体でなくても、弱いながらも磁性を持っています。これをうまく使うと、繊維や微結晶を配向させることができます。

 動画1:シャーペンの芯が磁力線の方向に配向する様子
 動画2:短く切ったナイロンの糸(釣り糸)が磁力線に垂直に配向する様子

 主な研究テーマ
  (1) 配向が制御されたセルロース系材料の創成
  (2) 配向制御による機能創成
  (3) 粉末微結晶の単結晶構造解析(X線・固体NMR)
  (4) 高分子の磁場配向
  (5) 磁気力の利用
  (6) ソフトアクチュエータ



(1) セルロースウィスカーの磁場配向
 セルロースウィスカー懸濁液に回転磁場を印加すると、繊維軸が回転軸に平行に配向します。写真は配向試料を横からと、上から顕微鏡観察した図です。 [Sci. Technol. Adv. Mater., 9, 024212 (2008)]

(2) セルロースナノ結晶の3次元配向
 セルロース繊維の加水分解により得られたセルロースナノ結晶(CNC)懸濁体に特殊な磁場を印加すると3次元配向します。写真は固化した配向懸濁体を光学顕微鏡で3方向から観察した図で、色調の違いから、3次元配向が確認できます。[J. Phys.: Conf. Ser. 156, 012002 (2009)]

(3) キラルネマチック液晶の磁場配向
 セルロースナノ結晶(CNC)懸濁体から得られるリオトロピックキラルネマチック液晶は磁場で配向して、モノドメインになります。写真水平方向が磁場印加方向、この方向に液晶のへリックス軸が配向します。[Langmuir, 21, 2034 (2005)]

(4) キラルネマチック液晶フィルムの作製
 リオトロピックキラルネマチック懸濁体を磁場中でキャストすると、フィルムができます。磁場を印加しないとマルチドメイン(左上)になりますが、磁場印加するとモノドメイン(右下)フィルムができます。[Sci. Technol. Adv. Mater., 9, 024212 (2008)]
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(5) セルロース繊維の高次構造解析
 セルロース繊維中でのCNCの配向相関を、X線回折の線幅とサイズの関係から求めました。写真は回転磁場配向セルロースウィスカーの回折像と、その線幅のサイズ依存性を示しています。[Macromolecules, 46, 8957 (2013)]

(6) 蒸発誘起の構造形成
 蒸発誘起の構造形成を利用して、高分子マトリクス中にセルロースナノウィスカー(CNW)が配向した透明複合フィルムを作製しました。[Biomacromolecules, 15, 60 (2014)]


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(1) カーボンファイバー(CF)の磁場配向
 高分子フィルム中でCFがフィルム面に垂直に配向しています。CFは繊維方向の熱伝導性が高いため、配向により高熱伝導性シートが期待できます。[Langmuir, 16, 858 (2000)]

(2) 拡散型偏光子
 尿素微結晶を透明フィルム中に一軸磁場配向させた複合フィルムは偏光機能を持ちます。尿素結晶の屈折率の一つが媒体の高分子と一致し、かつ結晶が一軸配向しているのでこのような機能が発現します。[Polymer Prep. Jpn, 51, 726 (2002)]
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(3) パール顔料の磁場配向
 顔料の配向方向が異なると、異なった色調が得られます。 [日本印刷学会誌, 45, 27 (2008)]
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(1) 二軸性結晶の3次元磁場配向:擬単結晶(MOMA)
 二軸性結晶(三斜、単斜、斜方)に回転速度が変調する回転磁場を印加すると、3次元(二軸)配向します。この技術により微結晶粉末を“擬単結晶”(MOMA: Magnetically Oriented Microcrystal Arrayと呼んでいます)とすることができます。擬単結晶は、本当の単結晶と同等のX線回折像を与えるので、粉末試料から単結晶構造解析ができます。[Langmuir, 21, 4805 (2005)]
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(2) 擬単結晶(MOMA)のX線回折像
 L-alanineの擬単結晶(MOMA)からの回折像を図に示します。微結晶粉末が3次元的に配向したことにより単結晶からの回折像と同等の回折が得られています。[Langmuir, 22, 3464 (2006)]
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(3) MOMAの固体NMR
 単結晶NMR法を用いると化学シフトテンソルの主値と主軸が決まります。擬単結晶(MOMA)を用いると、微結晶粉末にこの方法が適用できます。[J. Magn. Reson., 223, 68 (2012)]
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(4) 微結晶配向懸濁体(MOMS)のin-situ X線回折
 MOMAでは微結晶の配向を樹脂固定していますが、懸濁状態で配向した微結(MOMS: Magnetically Oriented Microcrystal Suspensionと呼んでいます)のin-situ X線回折測定も可能です。それにより、MOMAに比べ分解能が向上し、試料回収も可能になります。[Cryst. Growth Des., 11, 945 (2011)]
(5) 1D-MOMSのX線回折像
 L-alanineの1D-MOMSからの回折像を図に示します。微結晶粉末が一軸配向したことによりシャープな回折が得られています。磁化容易軸(χ1)、磁化困難軸(χ3)の一軸配向パターンが得られます。[Cryst. Growth Des., 11, 945 (2011)]
(Under Constraction) (5) 3D-MOMSのX線回折像
 微結晶を懸濁状態で3次元配向させることができます(3D-MOMS)。図には、そのin-situ X線回折像を示します。

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 多くの結晶性高分子は磁場中で加熱融解後、冷却すると磁場配向します。溶融結晶化過程で生成するメゾフェーズが関与した現象と考えられています。[Polymer J., 35, 823 (2003)]
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(1) 磁気分離
 磁場強度に分布があると、反磁性体は磁気力を受けます。この磁気力が重力や浮力と釣り合うと、物体は一定位置に浮上します。浮上の位置は物体の密度、磁化率により異なるので、分離に利用できます。図は、ポリマーペレットが分離された様子を示します。[Chem. Lett., 29, 1294 (2000)]
 磁気力を用いた赤血球の連続分離も可能です。
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(2) 磁気パターニング
 ミクロな磁場強度分布を作ると、微粒子の磁気トラッピングができます。図は、マウスの骨芽細胞が線状にパターニングざれた状態を示しています。このほかにも色々な微粒子がパターニングされます。
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(3) マイクロモーゼ効果
 磁場分布があると、それに応じて液面が変形します。
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 ゴムやゲルの中に、制御された配向分布を有する短い鉄マイクロワイヤーを埋め込んだ複合材料は、外部磁場に応答して変形します。図は、外部磁場に応答して変形するゴムです。
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